COOのつぶやき|FinTech立ち上げで考えたこと

スタートアップ・金融のトピックを中心に、COOとして何を考えているかを綴ります

“制約”の先にあるもの

MFSという住宅ローンに特化したFinTechスタートアップでCOOとして働いています。前回は「ニワトリとタマゴから抜け出す」を書き、リソースの制約がある中でどうすべきかを書きましたが、そのことを前向きな視点で考えてみたいと思います。

多くの人にとって制約は悩ましいものです。例えば、家が遠いので朝早く出ないといけないとか、たまった仕事を週末に片付けないといけないので自分の時間が持てない、とか。お金が無いので贅沢できない、というのもあると思います。

過去、自分は相当自由に生きていました。仕事にどっぷり漬かりたいので、モルガン・スタンレーで働いていた時はオフィスから5分のところに住んでいましたし、BCGに転職してからも30分で会社に着くような都心に住んでいました。

ですが、その生活のリズムは大きく変わりました。第一子誕生&スタートアップ立ち上げというビッグイベントを経て、郊外に住むことにしたのです。電車の混雑が嫌なので起床は7時半から5時半になり、家族みんなと過ごす時間を作りたいので子供の就寝時間(夜7時)までに帰るという中で、事業を立ち上げることになったのです。

BCGで1日に15~20時間働いていた状況から比べると労働時間は大幅な減少です。でも、逆にパフォーマンスは上がりました。「あれもこれもやらなきゃ」から「本当に重要なことだけを集中して取り組もう」にマインドがシフトしたのです。そうしないと7時までに帰れないですから!結果、考えなければならないことだけを考えるようになり、また通勤時間をその思考タイムに当てることで、前職よりも中身の濃いアウトプットをコンスタントに出せている気がします。

自分を制約するものの存在は、戦略を立てるきっかけになります。そしてその戦略次第では、制約条件がない時よりもパフォーマンスを上げることもあります。僕のケースはまさにそれでした。

これからも"制約"を今の状況をより良いものに変える"きっかけ"として前向きに捉えていきたいと思います。

ニワトリとタマゴから抜け出す

MFSという住宅ローンに特化したFinTechスタートアップで働いています。前職のボストン・コンサルティング・グループを辞め、事業を立ち上げていく中で考えたことを月1回のペースでまとめていきたいと思います。

第1回目のエントリーはニワトリとタマゴから抜け出すです。会社を立ち上げて実感するのは「実績がない中で、新しいことを始めるのがいかに難しいか」ということ。

例えばこういうことです。とある銀行に提案をしていました。
私 「xxx(施策)を認めて頂ければ貴行に送客できます。」
銀行 「xxxを認めるためには行内調整が必要です。行内調整のためには、御社にある程度の送客実績がないと難しいです」

「効果的な施策だね」とお互いが理解していたとしても、多くのことは行内調整(≒審査・コンプライアンス部門の説得)という厚い壁に阻まれます。種々ある業種の中でも銀行はこれが顕著のように思います。

金融業界で起業するとなると、銀行とのリレーションは外せません。でも、銀行は実績のないスタートアップをそう簡単には受け入れてくれません。世の中はFinTechと騒いでいますが、実はそんなに甘くはない(苦笑)。

じゃぁ、どうするのか?ここがうまく立ち上がるかどうかの別れ道です。結論から言いますと、自力で実績を作るしかないです。他者に頼っていてはダメです。

スタートアップにはリソースがありません。人もカネも時間も。その限られたリソースの中で、うまくやれそうなものは何か、それを考え抜くことが非常に重要です。とりあえず思いつくままやってみる、そんなことをやっていたら貴重なリソースが尽きてしまいます。

「高速でPDCAを回す」という言葉がありますが、それは打ち手に確信がなく、候補がたくさんあるという状況に陥った場合のセカンドベストな手段でしかありません。

高速で回せばいずれ報われるはずという考えに闇雲に走るのではなく、その前に考え抜くこと、むしろそれがリソースの限られたスタートアップには求められているように思います。